疲れが取れない原因|睡眠・自律神経・栄養の3方向から見直す

疲れが取れない原因|睡眠・自律神経・栄養の3方向から見直す

【受診の目安】休んでも回復しない疲労が数週間以上続く、微熱や体重の変化を伴う、気分の落ち込みや意欲の低下が続く、いびきや呼吸の停止を指摘された、といった場合は、甲状腺の病気や貧血、うつ病、睡眠時無呼吸などが隠れている可能性があります。早めに医師に相談してください。本記事は一般的な生活情報であり、診断や治療に代わるものではありません。

目次

疲れが取れない状態は、休養しても活動能力が戻らない「慢性的な疲労」として整理できる

疲れが取れないという訴えは、日本疲労学会の定義でいう「休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」が、休んでも回復せずに続いている状態として整理できます。

日本疲労学会は疲労を「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体の活動能力の減退状態」と定義し、「疲労」は心身への過負荷により生じた活動能力の低下、「疲労感」は疲労が存在することを自覚する感覚と区別しています[5]。同学会のガイドラインは、平成11年の厚生省疲労調査研究班の疫学調査で、疲労感を自覚している人が就労人口の約60%(4,720万人)、その半数(2,960万人)が半年以上続く慢性的な疲労に悩んでいたことを引用しています[5]。

疲れが取れない原因は一つに絞れないことが多く、本記事では睡眠、自律神経、栄養の3方向に分けて見直します。

方向1:睡眠は「時間」だけでなく「休養感」を確認する

寝ても疲れが取れない場合、睡眠時間が足りているかに加えて、睡眠で休養がとれている感覚(睡眠休養感)が得られているかを確認することが出発点になります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、睡眠時間が睡眠の量を反映する指標だとすれば、睡眠休養感は睡眠の質を反映する指標であり、睡眠時間の不足だけでなく、睡眠環境、生活習慣、嗜好品、睡眠障害の有無で影響を受けると記しています[1, p.8]。睡眠で休養がとれている人の割合は20歳以上の成人で7割程度と低く、年々減少傾向にあります[1, p.13]。同ガイドは、睡眠休養感の高さが心筋梗塞、狭心症、心不全といった心血管疾患の発症率低下と関連すること、40〜64歳では睡眠時間が短くても睡眠休養感が確保されている場合には死亡リスクが増加しなかったことを示しています[1, p.12〜13]。

日本の地域住民9,788人を対象にした長浜スタディでは、「睡眠で十分な休養がとれているか」に「いいえ」と答えた人(睡眠休養感の欠如)は33.3%でした。関連が強かった要因は、睡眠時間5時間未満(オッズ比11.7)、5〜6時間(4.81)、6〜7時間(2.40)、日常的なストレス(4.63)、不規則な睡眠スケジュール(2.02)、運動習慣なし(1.61)などでした[2]。

睡眠の見直し手順

  1. 睡眠時間を確保します。成人では1日6時間以上を目安に、おおよそ6〜8時間が適正と考えられています[1, p.11]。
  2. 起床時刻をそろえます。休日の起床時刻が大きく遅れると体内時計が混乱します[1, p.12]。
  3. 夕方以降のカフェインと寝酒をやめます。カフェインは摂取量が増えるほど深い睡眠が減り、アルコールは睡眠後半の質を悪化させます[1, p.30〜31]。
  4. 日中に体を動かします。運動習慣がない人は睡眠休養感が低いことがわかっています[1, p.26]。
  5. 見直しても休養感がなく日中の眠気が続く場合は、閉塞性睡眠時無呼吸などの睡眠障害を疑い、医師に相談します[1, p.34〜36]。

方向2:ストレスによる自律神経の偏りは、疲労と連動する

疲れが取れない状態では、ストレス反応によって交感神経の活動が高まり副交感神経の活動が下がった状態が続いていることが、研究で報告されています。

厚生労働省の「こころの耳」は、こころや体にかかる外部からの刺激をストレッサー、それに適応しようとして生じる反応をストレス反応と呼び、心理面では活気の低下、イライラ、不安、抑うつ、身体面では体のふしぶしの痛み、頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れ、行動面では飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミスなどが現れると説明しています[6]。

大阪市立大学などの研究グループは、健常者19人の心拍変動を解析し、日常の疲労度が高いほど交感神経活動の指標(%LFおよびLF/HF比)が高く、副交感神経活動の指標(%HF)が低いことを報告しています[3]。同グループの総説は、副交感神経活動の低下に基づく交感神経の過活動が急性、亜急性、慢性の疲労に共通してみられること、睡眠不足の蓄積が生体リズムを変化させることを述べています[4]。

e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」は、慢性的な睡眠不足は精神機能の低下だけでなくホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼし、本来夜間に低下する血圧が高止まりするなど循環器系の機能も変化すると記しています[7]。睡眠不足と自律神経の偏りは、互いに疲労を強める関係にあります。

自律神経の見直し手順

  1. 就寝前の1時間は仕事・家事・勉強から離れ、リラックスする時間を確保します。腹式呼吸、筋弛緩法、音楽、アロマなどが入眠を促し眠りの質を高める可能性が示されていますが、全ての人に効く方法はなく、自分に合う方法を探します[1, p.27]。
  2. 就寝の約1〜2時間前にぬるめの湯に浸かります。入浴は手足からの放熱を促して深部体温を下げるとともに、副交感神経が優位になり心身の緊張を緩和すると考えられています[1, p.27]。
  3. 日中に光を浴び、夜は暗めの環境で過ごして、1日の睡眠・覚醒リズムにメリハリをつけます[1, p.27]。
  4. ストレス反応が心理面・身体面・行動面に出ていないかを確認し、続く場合は職場の相談窓口や医療機関に相談します[6]。

方向3:鉄やエネルギーの不足は「だるい・疲れやすい」として現れる

食事の偏りによる鉄欠乏やエネルギー不足は、だるさや疲れやすさの自覚症状として現れるため、栄養は疲労の見直しで外せない方向です。

e-ヘルスネットは、体内の鉄が不足して貧血になると、筋肉への酸素の供給量が減り、筋力低下や疲労感といった症状が起こると記しています。成人の体内には約3〜4gの鉄があり、約70%は赤血球のヘモグロビンや筋肉のミオグロビンの構成要素です。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の推奨量は、男性で6.5〜7.5mg、月経のない女性で5.5〜6.0mg、月経のある女性で10.0〜10.5mgです[8]。鉄はレバー、赤身の肉・魚、小松菜やほうれん草などに多く含まれ、肉や魚のヘム鉄は野菜の非ヘム鉄より吸収がよく、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ると吸収しやすくなります[8]。

同サイトは、無理なダイエットや偏った食生活は鉄欠乏など潜在的な栄養不良のリスクを高め、鉄欠乏やそれに伴う貧血はだるい・疲れやすいといった自覚症状をもたらすと記しています[9]。朝食の欠食は体内時計の後退と睡眠休養感の低下にも関連します[1, p.27]。

栄養の見直し手順

  1. 朝食を欠かさずとります。1週間程度の朝食欠食で体内時計が後退することが報告されています[1, p.27]。
  2. 主食・主菜・副菜をそろえ、鉄を含む食品(赤身の肉・魚、レバー、緑葉野菜)とビタミンCを含む果物を組み合わせます[8, 9]。
  3. 「食べない」ダイエットを避けます。筋肉量の減少と基礎代謝の低下を招きます[9]。
  4. 疲れやすさに加えて動悸や息切れ、顔色の悪さがある場合は、貧血の検査を医師に相談します。

3方向の見直しチェック表

方向確認すること当てはまれば見直すこと根拠
睡眠平日の睡眠が6時間未満、休日に2時間以上寝坊、起床時に休養感がない床上時間の確保、起床時刻の統一、カフェイン・寝酒の回避ガイド2023 p.11〜13、長浜スタディ
自律神経寝る直前まで仕事、イライラ・不安が続く、肩こり・頭痛、飲酒量の増加就寝前1時間のリラックス、入浴、昼夜のメリハリガイド2023 p.27、こころの耳
栄養朝食を抜く、無理なダイエット、肉や魚をほとんど食べない朝食、鉄とビタミンCの組み合わせ、主食・主菜・副菜e-ヘルスネット「鉄」
身体活動1日の歩数が少ない、座りっぱなし歩行3メッツ以上を1日60分(約8,000歩)、筋力トレーニングを週2〜3日身体活動・運動ガイド2023

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に対して歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)、息が弾み汗をかく程度以上の運動を週60分以上、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを推奨しています[10]。

受診の目安:休んでも回復しない疲労が続くなら、他の病気の可能性を確かめる

休養や生活の見直しで回復しない疲労が続く場合は、疲労を引き起こす病気が隠れていないかを医師に確かめることが目安になります。

e-ヘルスネット「不眠症」は、不眠が続くと日中に倦怠感・意欲低下・集中力低下などの不調が出現すると記し、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、うつ病による不眠は専門施設での検査と診断が必要だとしています[11]。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、ガイドの内容を実践しても症状が続き日中の生活に影響している場合は速やかに医師に相談するよう記しています[1, p.34]。

厚生労働省の委託調査報告書は、強い全身倦怠感が休養しても回復せず6か月以上続く筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)について、診断は慢性臓器不全、慢性感染症、慢性炎症性疾患、主な神経性及び代謝・内分泌疾患、双極性障害・統合失調症・精神病性うつ病などの器質的疾患・病態を除外した上で注意深く行うと記しています[12]。甲状腺の病気は内分泌疾患に、貧血は鉄欠乏に、睡眠時無呼吸は睡眠障害に含まれ、疲労が長引く場合はこれらの病気の有無を医師に確認することが先になります。

よくある質問(FAQ)

寝ても疲れが取れないのは睡眠時間が足りないからですか

長浜スタディでは、睡眠時間5時間未満の人は睡眠休養感欠如のオッズ比が11.7と最も高い一方、日常的なストレス(4.63)、不規則な睡眠スケジュール(2.02)、運動習慣なし(1.61)も独立して関連していました[2]。時間だけでなく、ストレス、規則性、運動も併せて見直します。

疲れが取れないとき、休日に寝だめをすれば回復しますか

「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、平日6時間以上眠っている人の休日1時間程度の寝だめにはリスク軽減効果がある一方、休日2時間以上の寝だめ習慣には軽減効果がなく、起床時刻の大きな遅れは体内時計を混乱させると記しています[1, p.12]。

体がだるい原因が女性に多いといわれるのはなぜですか

e-ヘルスネットは、月経のある女性の鉄の推奨量が1日10.0〜10.5mgと男性より多く、実際には多くの女性で摂取量がこれに満たないこと、鉄欠乏やそれに伴う貧血がだるい・疲れやすいといった自覚症状をもたらすことを記しています[8, 9]。

疲労回復に効く食べ物やサプリメントはありますか

本記事で参照した公的資料の範囲では、特定の食品やサプリメントが疲労を回復させるとする記載は確認できませんでした。鉄欠乏が疑われる場合は、自己判断でサプリメントを使う前に、医師に血液検査を相談してください。規制や基準は変更されることがあるため、最新情報を確認してください。

どのくらい続いたら受診したほうがよいですか

厚生労働省の委託調査報告書は、休養しても回復しない疲労が6か月以上続く状態をME/CFSの目安として挙げていますが、診断には他の病気の除外が必要です[12]。6か月を待つ必要はなく、休んでも回復しない疲労が数週間続く、微熱や体重変化、気分の落ち込み、いびきを伴う場合は早めに医師に相談してください。

まとめ

  • 疲れが取れない状態は、睡眠の休養感、自律神経の偏り、鉄などの栄養の3方向から見直します。
  • 睡眠休養感の欠如は地域住民の33.3%にみられ、短時間睡眠、ストレス、不規則な睡眠、運動不足と関連しています。
  • 就寝前1時間のリラックスと入浴、朝食と鉄の摂取、1日約8,000歩の身体活動が公的資料で示された見直し方です。
  • 休んでも回復しない疲労が続く場合は、甲状腺、貧血、うつ病、睡眠時無呼吸などの有無を医師に確かめます。

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参考文献・出典

  1. 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド2023」令和6年2月(厚生労働省). 睡眠に関する基本事項 p.8、成人版 p.11〜13、運動、食事等の生活習慣と睡眠について p.26〜27、睡眠と嗜好品について p.30〜31、睡眠障害について p.34〜36. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
  2. Matsumoto T, Tabara Y, Murase K, et al. Combined association of clinical and lifestyle factors with non-restorative sleep: The Nagahama Study. PLoS ONE. 2017;12(3):e0171849. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0171849
  3. Tanaka M, Mizuno K, Yamaguti K, Kuratsune H, Fujii A, Baba H, Matsuda K, Nishimae A, Takesaka T, Watanabe Y. Autonomic nervous alterations associated with daily level of fatigue. Behavioral and Brain Functions. 2011;7:46. https://doi.org/10.1186/1744-9081-7-46
  4. Tanaka M, Tajima S, Mizuno K, et al. Frontier studies on fatigue, autonomic nerve dysfunction, and sleep-rhythm disorder. The Journal of Physiological Sciences. 2015;65(6):483-498. https://doi.org/10.1007/s12576-015-0399-y
  5. 日本疲労学会「日常生活により問題となる疲労に対する抗疲労製品の効果に関する臨床評価ガイドライン」第5版、平成23年7月22日. https://j-fatigue.jp/wp-content/uploads/2024/02/guideline.pdf
  6. 厚生労働省「こころの耳」1 ストレスとは. https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/
  7. 三島和夫「睡眠と生活習慣病との深い関係」e-ヘルスネット(厚生労働省)最終更新2025年6月1日. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html
  8. 勝間田真一「鉄」e-ヘルスネット(厚生労働省)最終更新2025年12月1日. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-022.html
  9. 林芙美「若い女性の『やせ』と健康・栄養問題」e-ヘルスネット(厚生労働省)最終更新2025年6月16日. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-006.html
  10. 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」概要. https://www.mhlw.go.jp/content/001204942.pdf
  11. 三島和夫「不眠症」e-ヘルスネット(厚生労働省)最終更新2023年1月23日. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001.html
  12. 厚生労働省委託事業「慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業」報告書(平成26年度公募・平成27年度報告、聖マリアンナ医科大学). https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000104377.pdf

この記事は一般的な生活情報であり、特定製品の効果を示すものではありません。診断や治療は医師に相談してください。

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アストラサナ広報担当。カンナビノイドをはじめとする健康情報をわかりやすくお伝え。
日本においても欧州水準まで身近にすることを目標に日々頑張っています。

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