寝ても寝ても眠いのは、日本の成人の3人に1人が感じている状態
寝ても寝ても眠いという状態は珍しいものとはいえず、厚生労働省の調査では成人の34.8%が「この1か月間に週3回以上、日中に眠気を感じた」と答えています。
e-ヘルスネット「昼間の眠気」によると、令和元年に全国の20歳以上の成人約5,700人を対象に実施された国民健康・栄養調査で、週3回以上日中に眠気を感じた人は34.8%でした。20代が43.6%と最も多く、年齢が上がるにつれて減少しますが、70歳以上でも31.1%が眠気を感じていました[2]。
同ページは、眠気の原因は睡眠不足だけでなく、睡眠の質が低下する睡眠障害、服用している薬剤の副作用、うつ病などの精神疾患でも出現すると記しています[2]。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、睡眠に関連する症状は「睡眠環境、生活習慣、嗜好品」によるものと「睡眠障害」によるものに分けて考えるよう示しています[1, p.34]。
寝ても眠い原因は「量」「質」「リズム」「病気」の4つに切り分ける
寝ても寝ても眠い原因は、睡眠時間の不足、睡眠の質の低下、体内時計のずれ、眠気を引き起こす病気の4つに切り分けると、自分で見直せる部分と医師に相談する部分を区別できます。
1. 量:自覚しにくい睡眠不足
e-ヘルスネットは、数日程度の睡眠不足では眠気をはっきり自覚できるが、睡眠不足が長引くとむしろ眠気を自覚しにくくなることが明らかになっていると記しています[2]。睡眠不足が長期間続くと慢性的な眠気や認知パフォーマンスの低下が生じ、この状態は睡眠不足症候群と呼ばれます。一般的に平日の睡眠時間が3〜5時間と短く、週末に9〜10時間の長い寝だめがみられます[2]。
同ガイドは成人について、おおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、1日6時間以上を目安に確保することを推奨しています[1, p.11]。必要睡眠時間が体質的に長い人では、毎日6〜7時間以上眠っても睡眠不足症候群を発症することがあります[2]。
2. 質:時間は足りていても休養感が低い
同ガイドは、睡眠時間が睡眠の量を反映する指標だとすれば、睡眠休養感(睡眠で休養がとれている感覚)は睡眠の質を反映する指標だとしています。睡眠休養感は睡眠時間の不足だけでなく、睡眠環境、生活習慣、嗜好品、睡眠障害の有無で影響を受けます[1, p.8]。睡眠で休養がとれている人の割合は20歳以上の成人で7割程度と低く、年々減少傾向にあります[1, p.13]。
質を下げる生活要因として、カフェインは摂取量が増えるほど深い睡眠が減少し中途覚醒が増えること[1, p.30]、アルコールは睡眠後半の質を悪化させること[1, p.31]、寝ている間の低い照度の光でも中途覚醒時間が増えること[1, p.23]が報告されています。
3. リズム:寝だめと起床時刻のずれ
同ガイドによると、平日6時間以上眠っている人に限り休日1時間程度の寝だめは寿命短縮リスクを下げますが、平日6時間未満の人は寝だめをしても有意にリスクが高く、休日2時間以上の寝だめ習慣には軽減効果がありません[1, p.12]。寝だめのために休日の起床時刻が大きく遅れると体内時計が混乱し、時差ぼけと同様の悪影響が生じます[1, p.12]。e-ヘルスネットも、寝だめで一時的に眠気が解消されても、自律神経やホルモン分泌、代謝、認知機能への悪影響はすべて解消されないと記しています[2]。
4. 病気:眠気を引き起こす睡眠障害
e-ヘルスネットは、過眠を引き起こす病気を「夜間睡眠の質が低下するため日中に眠気が出るもの」と「脳を覚醒させる機能が低下するため眠気が出るもの」に分けています。前者の代表が閉塞性睡眠時無呼吸で、睡眠中に呼吸が止まり眠りが浅くなるため、睡眠時間を確保しても昼間の眠気が出ます。後者の代表が過眠症(ナルコレプシー、特発性過眠症)です[2]。むずむず脚症候群も日中の眠気を起こす病気の一つです[2]。
原因の切り分け表
| 当てはまる状況 | 考えられる原因 | 対応 |
|---|---|---|
| 平日の睡眠が6時間未満、休日に長く寝る | 睡眠不足・睡眠不足症候群 | 平日の床上時間を増やし、休日の起床時刻を平日に近づける |
| 6〜8時間眠っているのに休養感がない | 睡眠の質の低下(嗜好品・光・環境) | 夕方以降のカフェイン回避、寝酒をやめる、寝室を暗くする |
| 休日に2時間以上寝坊する、起床時刻が日によって違う | 体内時計のずれ | 起床時刻をそろえ、朝の光を浴びる |
| いびき・呼吸停止を指摘された、起床時に頭痛 | 閉塞性睡眠時無呼吸の可能性 | 医療機関で検査 |
| 十分眠っても会議中や運転中に居眠りする | 過眠症の可能性 | 睡眠障害専門の医療機関を受診 |
| 薬を飲み始めてから眠い | 薬剤の副作用の可能性 | 処方医・薬剤師に相談 |
出典:e-ヘルスネット「昼間の眠気」[2]、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」p.11〜12、p.34〜36[1]
生活の見直し手順:まず睡眠時間を1週間記録する
寝ても寝ても眠い状態を見直す手順は、実際の睡眠時間と起床時刻を1週間記録して「量」と「リズム」を確認し、次に嗜好品と寝室環境で「質」を整える順番で進めます。
- 1週間、就床時刻・起床時刻・実際に眠れたと感じる時間を記録します。平日と休日の起床時刻の差が2時間以上あれば、体内時計のずれが疑われます[1, p.12]。
- 平日の睡眠時間が6時間未満なら、就床時刻を早めて床上時間を確保します[1, p.11]。
- 起床時刻を平日・休日でそろえ、起床後に朝日を浴びます。日中に1,000ルクス以上の光を浴びると夜間のメラトニン分泌量が増え、入眠が促されます[1, p.23]。
- 朝食をとります。1週間程度の朝食欠食で体内時計が後退することが報告されており、朝食の欠食は睡眠休養感の低下と関連します[1, p.27]。
- 1日のカフェインを400mg以下に抑え、夕方以降は控えます。1日400mgを超えると、朝の摂取であっても睡眠に悪影響を与える可能性があります[1, p.30]。
- 日中に体を動かします。運動習慣がない人は睡眠休養感が低く、中強度以上の身体活動が睡眠改善に有効とされています[1, p.26]。
- 昼間の眠気が強いときは、午後3時前までに30分以内の昼寝をとります[3]。
眠気覚ましのカフェインに頼り続けない
同ガイドは、眠気覚ましにカフェインを摂取している人について、慢性的な摂取では効果が減弱し依存も生じると記しています。日中の眠気は慢性的な睡眠不足や睡眠障害に起因する場合もあるため、睡眠時間の適正化と生活習慣の見直しを行い、それでも改善しない場合は医師に相談するよう勧めています[1, p.30]。
受診の目安:生活を整えても強い眠気が続くなら睡眠障害を疑う
睡眠時間を確保し生活を整えても日中の強い眠気が続き、居眠りなどで学業や仕事に支障がある場合は、睡眠障害専門の医療機関で検査を受けることが目安になります。
e-ヘルスネットは、昼間に強い眠気があり、居眠りなどで学業や仕事に支障がある場合は、睡眠障害専門の医療機関を受診して必要な検査・治療を受けることが大切だと記しています[2]。閉塞性睡眠時無呼吸は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の発症や悪化の原因になり、動脈硬化の進行や死亡率の増加にもつながります[2]。
同ガイドは、閉塞性睡眠時無呼吸を有する人は睡眠を過大評価することがあり、十分眠っていると感じていても実際の睡眠時間が短い場合があるとし、睡眠時間が十分でも睡眠休養感の低下や日中の眠気が続いて生活に支障があるときは医師に相談するよう記しています[1, p.36]。
よくある質問(FAQ)
寝ても寝ても眠いのは女性に多いですか
e-ヘルスネットの引用する令和元年国民健康・栄養調査では、日中の眠気は年代による差が示されており、20代で43.6%と最も多くなっています[2]。性別ごとの数値は本記事で参照した資料の範囲では確認できませんでした。女性の睡眠に関する情報はe-ヘルスネット「女性の睡眠障害」を参照してください。
休日にたくさん寝れば平日の眠気は解消できますか
「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、平日6時間以上眠っている人の休日1時間程度の寝だめにはリスク軽減効果がある一方、平日6時間未満の人の寝だめや、休日2時間以上の寝だめ習慣には軽減効果がないと記しています[1, p.12]。休日の寝だめが必要な人は睡眠習慣を見直す必要があります[2]。
眠気が自覚できなくなることはありますか
e-ヘルスネットは、睡眠不足が長引くとむしろ眠気を自覚しにくくなることが明らかになっていると記しています。運転や危険作業に従事する人は特に注意が必要です[2]。
昼寝はどのくらいが適切ですか
e-ヘルスネットは、日中に眠気があるときは午後3時前までに30分以内の昼寝が効果的だとしています[3]。同ガイドは高齢者について、30分以上の昼寝を習慣とする人は将来の死亡リスクが1.27倍だったという報告を引用し、長時間の昼寝を避けるよう記しています[1, p.19]。
眠気覚ましのサプリメントや栄養ドリンクは使ってもよいですか
同ガイドは、カフェインを含むエナジードリンクにはコーヒーの5倍近いカフェインを含む製品があり、摂取量を最小限にし朝に限るなどの注意が必要だと記しています[1, p.31]。眠気を引き起こす病気がある場合、カフェインや栄養ドリンクでは解決しません。使用の可否は医師・薬剤師に相談し、規制や基準の最新情報を確認してください。
まとめ
- 日中の眠気は成人の34.8%が感じており、20代では43.6%に上ります。
- 原因は睡眠の量・質・リズム・病気の4つに切り分けます。
- 1週間の睡眠記録から始め、床上時間の確保、起床時刻の統一、朝の光と朝食、カフェインの上限、日中の運動で見直します。
- 生活を整えても強い眠気が続き生活に支障がある場合は、睡眠障害専門の医療機関で検査を受けます。
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参考文献・出典
- 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド2023」令和6年2月(厚生労働省). 睡眠に関する基本事項 p.8、成人版 p.11〜13、高齢者版 p.19、良質な睡眠のための環境づくりについて p.23、運動、食事等の生活習慣と睡眠について p.26〜27、睡眠と嗜好品について p.30〜31、睡眠障害について p.34〜36. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
- 三島和夫「昼間の眠気 – 睡眠不足だけではなく睡眠・覚醒障害にも注意が必要」e-ヘルスネット(厚生労働省)最終更新2025年6月1日. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-002.html
- 三島和夫「不眠症」e-ヘルスネット(厚生労働省)最終更新2023年1月23日. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001.html
この記事は一般的な生活情報であり、特定製品の効果を示すものではありません。診断や治療は医師に相談してください。


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