犬猫の痒み(かゆみ)にCBDは使える?ヒトの2025年メタ解析と犬の臨床研究から現在地を解説

犬猫の痒みにCBDは使える?記事アイキャッチ(茂木千恵先生監修)

✍️ 本記事は、獣医学博士・獣医師の茂木千恵(日本アニマルCBD協会 学術顧問)が監修し、2026年8月時点の一次文献、系統的レビューおよび診療ガイドラインをもとに作成しています。特定の製品の効果を保証するものではありません。CBD関連製品の使用を検討する場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

※監修者の茂木千恵は、本記事で紹介する犬のアトピー性皮膚炎に対するCBD臨床研究 Mogi et al.(2022)の筆頭著者です。

目次

犬猫の痒みにCBDは使える?犬では臨床研究があるが、効果はまだ確立していない

ヒト・犬・猫でエビデンスが異なることの整理

犬では、CBDまたはCBD/CBDAを含む製剤を使用し、アトピー性皮膚炎に伴う掻痒(かゆみ)が軽減したとする臨床研究が報告されています。一方で、皮膚病変の改善を認めなかった研究や、対照群と比較して掻痒の有意な改善が確認されなかった研究もあります[1–3]。

したがって現時点では、「犬の痒みにCBDが効く」と一般化できる段階ではありませんが、掻痒軽減の可能性を示す限定的な臨床エビデンスは存在する、というのが適切な整理です。

猫では状況が異なります。猫の皮膚にカンナビノイド受容体などの関連分子が存在することや、CBDの薬物動態・安全性を調べた研究はありますが、掻痒性皮膚疾患に対するCBDの臨床的有効性を検証した十分な研究は、現時点ではありません[5–7]。

また、2025年にはヒトの皮膚科領域におけるカナビス・カンナビノイド関連介入をまとめた系統的レビュー・メタ解析が発表され、掻痒について小さいながら統計学的に有意な改善が報告されました[8]。

ただし、この研究はCBD単独の効果を検証したメタ解析ではありません。そのため、「ヒトではCBDが痒みに効くことが証明された」と解釈することも、その結果を犬猫へそのまま当てはめることもできません。

この記事でわかること

  • 2025年のヒトの系統的レビュー・メタ解析で実際に検証されたこと
  • 犬のアトピー性皮膚炎に対するCBD臨床研究で分かっていること
  • なぜ犬と猫を同じエビデンスとして扱えないのか
  • 「痒み」と「皮膚の炎症・病変」を分けて評価する必要性
  • 現時点でのCBD関連製剤の臨床的な位置づけと安全性

🔗 関連記事:犬のアトピー性皮膚炎そのものの治療・しくみ・安全性は犬のアトピー性皮膚炎にCBDは使える?皮膚のECSと炎症・安全性を獣医師が解説で詳しく整理しています。


2025年の系統的レビュー:ヒトでは「カンナビノイド関連介入」で小さな掻痒改善を報告

Sermsaksasithornらは2025年10月、ヒトの皮膚科領域におけるカナビスおよびカンナビノイド関連介入について、系統的レビュー・メタ解析を報告しました[8]。

このレビューには、ランダム化比較試験11件、準実験研究3件、観察研究3件の計17研究、3,359名が含まれています。

重要なのは、このレビューがCBDだけを対象としたものではないことです。対象となった介入には、カナビス由来製剤、カンナビノイド受容体に作用する薬剤、palmitoylethanolamide(PEA)関連製剤など、異なる種類の介入が含まれていました。

掻痒を評価した研究のうち、対照群を有する6研究を統合した解析では、カンナビノイド関連介入群で小さいながら統計学的に有意な掻痒スコアの低下が認められました。

標準化平均差(SMD)は−0.29、95%信頼区間は−0.52~−0.06であり、統計学的には有意であるものの、効果量としては大きなものではありませんでした。

一方で、皮膚乾燥、紅斑、QOL、アトピー性皮膚炎の疾患重症度スコア、経皮水分蒸散量については、統計学的に有意な改善は確認されませんでした[8]。

ここで特に重要なのは、この「掻痒改善」という結果を、そのまま「CBDの抗掻痒効果」と読み替えることはできないという点です。

レビューに含まれた介入は多様であり、CBDだけを集めて統合した解析ではありません。また、対象研究にはバイアスリスク上の制約もあり、著者らは、より大規模で標準化されたランダム化比較試験が必要であると結論づけています[8]。

2025年レビューから言えること

項目現時点で言えること
対象ヒトのみ。犬・猫などの動物研究は含まれない
研究数17研究、合計3,359名
掻痒対照群を有する6研究の統合解析で、小さいが統計学的に有意な改善
紅斑・乾燥有意な改善なし
AD重症度有意な改善なし
QOL有意な改善なし
CBDについてCBD単独の抗掻痒効果を示したメタ解析ではない
犬猫への適用このレビューから直接判断することはできない

つまり、このレビューが示したのは「ヒトの皮膚科領域で、広義のカンナビノイド関連介入に小さな抗掻痒効果がみられた」ということであり、「CBDが犬猫の痒みに効く」という結論ではありません。


犬ではCBDを実際に投与した臨床研究が報告されている

犬アトピー性皮膚炎に対するCBD臨床研究4件の比較

ヒトの研究を犬へ外挿する前に、まず犬そのものを対象とした研究を確認する必要があります。

2026年8月時点では、犬のアトピー性皮膚炎にCBDまたはCBD関連製剤を使用した複数の臨床研究が報告されています[1–3]。

Mogi et al. 2022:8例の後ろ向き症例集積

Mogiらは、獣医皮膚科医によって犬アトピー性皮膚炎と診断された8頭について、THCを含まないCBD含有ヘンプオイルを既存治療に追加した症例を後ろ向きに評価しました[1]。

投与後、8頭中7頭で飼い主評価による掻痒スコア(PVAS)が低下しました。一方、この研究には対照群がなく、CBD以外の治療も併用され、CBD投与量も個体によって異なっていました。

そのため、この研究はCBDによる掻痒軽減の可能性を示す臨床的知見ではありますが、改善がCBD単独によるものであったと証明することはできません。原著でも、投与量、有効性、安全性を検証するため、さらなる対照研究が必要であるとしています[1]。

Loewinger et al. 2022:32頭の無作為化二重盲検プラセボ対照試験

Loewingerらは、犬アトピー性皮膚炎32頭を対象として、CBD/CBDA製剤とプラセボを4週間比較する前向き・無作為化・二重盲検・プラセボ対照試験を行いました[2]。

CBD/CBDA群17頭には、CBDとCBDAを等量含む製剤を2 mg/kgで投与しました。既存治療については、研究期間中に変更しないことを条件として継続が認められました。CBD/CBDA群では、飼い主が評価するpVASが14日目および28日目に低下しました。ベースラインからのpVAS変化量を群間比較すると、14日目には有意差を認めましたが、28日目には統計学的有意差にわずかに達しませんでした(p=0.054)。

一方、獣医師が皮膚病変を評価するCADESI-04については、有意な改善を認めませんでした。また、測定された血清サイトカインについても有意な群間差は確認されませんでした[2]。

この結果は、「痒みの評価が改善すること」と「皮膚の炎症・病変そのものが改善すること」が必ずしも同じではない可能性を示しています。

Mariga et al. 2023:14頭の比較試験

Marigaらは犬アトピー性皮膚炎14頭を、full-spectrum high-CBD Cannabis oil群とオリーブオイル対照群に分け、60日間評価しました[3]。

評価項目には、掻痒(pVAS)、CADESI-04および皮膚組織のマスト細胞数などが含まれました。

その結果、これらの評価項目について、CBDを多く含むCannabis oil群と対照群の間に統計学的に有意な治療効果は確認されませんでした。

したがって、この研究は、今回使用された製剤・用量・条件において、対照群を上回る有効性を示さなかった研究として位置づけられます[3]。

Mariga et al. 2026:同一研究系のサイトカイン・酸化ストレス追加解析

2026年には、Marigaらの研究グループから、犬アトピー性皮膚炎に対するCannabis oil使用時の酸化ストレスおよびサイトカイン遺伝子発現を評価した追加報告が発表されました[4]。

この研究では、IL-6、IL-10、IL-31の遺伝子発現や酸化ストレス関連指標が評価されましたが、Cannabis oil群と対照群との間に統計学的に有意な差は確認されませんでした[4]。

ただし、この2026年報告は、2023年報告とは別個の新しい大規模臨床試験として扱うべきものではありません。同じ14頭の研究系から得られた追加の分子・生化学的解析として位置づける必要があります。

犬の直接的な臨床エビデンスをまとめると

研究対象・デザイン主な結果主な限界
Mogi et al. 2022[1]cAD 8頭・後ろ向き症例集積8頭中7頭でPVAS低下対照群なし、併用治療・CBD用量が一定でない
Loewinger et al. 2022[2]cAD 32頭・無作為化二重盲検プラセボ対照掻痒低下を支持する結果。CADESI-04は改善せず4週間、小規模。28日目のpVAS変化量の群間差はp=0.054
Mariga et al. 2023[3]cAD 14頭・比較試験pVAS、CADESI-04、マスト細胞数に有意な治療効果なし小規模、製剤・投与条件が限定される
Mariga et al. 2026[4]上記研究の追加解析IL-6、IL-10、IL-31、酸化ストレス関連指標に有意な群間差なし独立した新規臨床試験ではなく追加解析

健康犬で「引っかく行動」を評価した研究もある

Morrisらは、皮膚疾患のない健康な成犬24頭を対象に、CBD含有トリーツが日常活動へ及ぼす影響を評価しました[9]。

CBDは全日の活動量には影響しませんでした。一方、体を引っかく行動については1日の集計では減少傾向が認められ(p=0.071)、午前・午後の観察時間帯ではCBD群で引っかき行動が有意に少なくなりました(p=0.030)。

ただし、この研究の主目的は犬アトピー性皮膚炎の治療効果を評価することではなく、対象も健康犬です。

したがって、CBDに抗掻痒作用がある可能性を考えるうえでの補助的・探索的知見としては参考になりますが、犬アトピー性皮膚炎への有効性を示す直接的な治療エビデンスとして扱うべきではありません[9]。

犬の研究から現在言えること

以上を総合すると、犬ではCBD関連製剤による掻痒軽減を支持する臨床研究は存在します。

一方で、研究間で結果は一致しておらず、症例数も少なく、使用された製剤、CBD・CBDAなどの組成、投与量、投与期間、併用治療も異なります。

したがって、現時点では「CBDは犬のアトピー性皮膚炎の痒みに有効である」と一般化することはできず、有効性はまだ確立していないと評価するのが適切です。


猫ではどうか:皮膚のECS関連分子は研究されているが、掻痒への有効性は未確証

観点犬猫
臨床的有効性研究アトピー性皮膚炎で複数(Mogi・Loewinger・Mariga)掻痒性皮膚疾患への十分な有効性研究なし
主な結果掻痒軽減を支持する結果はあるが一貫しない受容体分布・薬物動態・安全性の研究のみ
皮膚病変(CADESI等)有意な改善は確認されず評価データなし
現時点の整理有効性は未確立臨床的有効性は未確証

猫では、犬と同じレベルの臨床的有効性データはありません。

Miragliottaらは、健常猫5頭と過敏性皮膚炎の猫7頭の皮膚を調べ、カンナビノイド受容体であるCB1、CB2およびPPARαの分布を免疫組織化学的に評価しました[5]。

この研究は、猫の皮膚にもカンナビノイド関連シグナルに関わる分子が存在し、過敏性皮膚炎ではその発現パターンが変化し得ることを示す基礎的知見です。

ただし、CBDを投与して痒みが改善するかを調べた治療試験ではありません。

猫へのCBD投与そのものについては、薬物動態や安全性の研究があります。Deaboldらは、健康な犬および猫を対象にCBD-rich hemp製品の薬物動態と予備的安全性を評価しました[6]。犬と猫ではCBDの血中動態に違いが認められましたが、この研究から「猫では何mg/kgが適切」「猫のほうが少量で反応する」といった臨床用量を一般化することはできません。

またColtherdらは、健康な猫を対象とした無作為化・盲検・プラセボ対照研究で、THCを含まないCBDを4 mg/kg/dayで26週間投与しました[7]。

試験された条件では概ね良好に忍容されましたが、この研究は健康猫での長期忍容性を評価したものであり、皮膚疾患や掻痒に対する治療効果を検証したものではありません。

したがって猫については、「皮膚にカンナビノイド関連分子が存在することやCBDの薬物動態・安全性については研究されているが、掻痒性皮膚疾患に対する臨床的有効性は十分に検証されていない」と整理するのが適切です。


「効く/効かない」だけで判断しない:痒みと皮膚病変を分けて評価する

痒みと皮膚の炎症・病変を分けて評価する

皮膚疾患では、「掻く」「舐める」という行動と、皮膚で生じている炎症や感染症を分けて考える必要があります。

犬アトピー性皮膚炎を例にすると、以下の要素が重なって症状を形成します。

  • 基礎となる皮膚炎症
  • 皮膚バリアの異常
  • 細菌やマラセチアなどによる二次感染
  • 掻痒
  • 掻く・舐めることによる二次的な皮膚損傷
  • 環境や季節などによる増悪因子

実際、Loewingerらの研究ではCBD/CBDA群で掻痒指標の改善を支持する結果がみられた一方、CADESI-04による皮膚病変には有意な改善が認められませんでした[2]。

したがって、「掻く回数が減った=アトピー性皮膚炎そのものが改善した」と直ちに判断することはできません。

CBDを使用するかどうかにかかわらず、まず痒みの原因を診断することが最優先です。

犬アトピー性皮膚炎の診断ガイドラインでは、特定の臨床基準だけで診断を確定するのではなく、病歴や臨床徴候を評価するとともに、寄生虫、感染症、食物に関連する皮膚症状など、類似する掻痒性皮膚疾患を系統的に除外することが重要とされています[10]。

家庭で記録しておくと診療に役立つこと

  • 掻く・舐める・噛む行動の頻度と時間帯
  • 症状が集中する部位
  • 赤み、脱毛、湿り、皮膚のにおいなどの変化
  • 夜間に痒みで起きるか、睡眠が妨げられていないか
  • 季節、食事、散歩、シャンプーなど症状が変化するきっかけ
  • 使用している薬、外用剤、シャンプー、サプリメントの名称と開始日

「何を使ったか」だけではなく、使用前後で何が変わったのかを記録することが重要です。


安全性:多くの試験で良好な忍容性が報告される一方、「天然由来=必ず安全」ではない

着目点本文で報告された内容対応
消化器症状高用量で消化器関連の有害事象が増加(Vaughn 2021)用量に注意し異常時は中止・受診
ALP(肝酵素)上昇犬の反復投与で複数研究が報告。Loewinger研究でも一部で上昇長期使用時は血液検査の必要性を獣医師と相談
重篤な皮膚・粘膜病変投与5日以内に潰瘍性病変を呈した犬1例(Simpson 2020)1例のため頻度・因果は不明。新規病変時は中止・受診
猫の長期忍容性健康猫でTHC-free CBD 4mg/kg/day・26週は概ね良好に忍容(Coltherd)皮膚疾患・掻痒への治療効果は別問題

CBDの安全性についても、「安全」「危険」の二択で考えるべきではありません。

健康犬を対象としたVaughnらの無作為化プラセボ対照試験では、CBDを1、2、4、12 mg/kg/dayの用量で28日間反復投与し、安全性と薬物動態を評価しました[11]。

全体として試験されたCBD製剤は概ね良好に忍容されましたが、高用量では消化器関連の有害事象が多く、血清ALP活性の上昇も確認されています。

ALP活性の上昇だけで直ちに肝障害を意味するわけではありませんが、犬へのCBD反復投与では複数の研究で報告されている所見であり、長期間使用する場合には注意が必要です。

Loewingerらの犬アトピー性皮膚炎研究でも、CBD/CBDA投与群の一部でALP上昇が認められています[2]。

そのため、継続使用時にはCBDの使用量、基礎疾患、併用薬などに応じて、血液検査の必要性を獣医師と相談することが望まれます。

また、Simpsonらは、CBD含有ヘンプオイル製品の投与開始後5日以内に、肉球の剥離と急速に進行する皮膚・粘膜の潰瘍性病変を呈した犬1例を報告しています[12]。

臨床像および病理所見はStevens–Johnson syndromeと整合し、他の原因が確認されなかったことなどから、おそらく薬剤性有害反応と関連した症状であったと評価されました。

ただし、これは1例の症例報告です。したがって、この報告から有害反応の発生頻度を推定することも、CBDそのものが原因物質であったと断定することもできません。一方、健康猫を対象としたColtherdらの26週間試験では、THC-free CBD 4 mg/kg/dayは、試験された条件で概ね良好に忍容されました[7]。

つまり、現在までの反復投与研究では多くの犬猫で比較的良好な忍容性が報告されていますが、すべての動物で安全であることを保証するものではありません。


CBDの位置づけ:標準的な診断・治療を前提とした補助的な検討

CBDの位置づけ 診断と標準治療を前提とした補助的検討

現時点では、CBD関連製剤を犬猫の掻痒性皮膚疾患に対する標準的な治療として推奨できるだけの十分な臨床エビデンスはありません。

犬では、既存治療にCBDまたはCBD/CBDAを追加し、掻痒軽減を支持する結果が得られた研究があります[1,2]。

一方、対照群との比較で有効性を確認できなかった研究もあり[3]、同研究系の追加解析でも明確なサイトカイン・酸化ストレス指標の改善は確認されていません[4]。

また、各研究で使用された製剤は同じではありません。THCを含まないCBD含有ヘンプオイル、CBD/CBDAを含む製剤、full-spectrum high-CBD Cannabis oilなどは組成が異なるため、ある研究の結果を別のCBD製品にそのまま当てはめることはできません。

特に犬アトピー性皮膚炎では、まず適切な皮膚科診断を行い、寄生虫、感染症、食物関連皮膚症状などの鑑別・管理を行ったうえで、必要な標準治療を組み立てることが基本です[10]。

そのうえでCBD関連製剤を使用する場合には、次の点を獣医師とともに評価する必要があります。

  • 何を目的として使用するのか
  • 掻痒、皮膚病変など、どの症状を評価するのか
  • 既存治療とどのように併用するのか
  • 使用前後でどのような変化が生じたか
  • 有害事象が生じていないか

現時点でCBD関連製剤は、犬猫の皮膚疾患に対する基本治療の代替ではなく、限られた臨床エビデンス、安全性、製剤品質を踏まえながら、獣医師の管理下で補助的な使用を検討する段階にあると考えるのが適切です。


よくある質問(FAQ)

Q1. CBDは犬の痒みに効きますか?

犬アトピー性皮膚炎で掻痒軽減を報告した臨床研究はあります[1,2]。一方、対照群と比較して明確な有効性を確認できなかった研究もあり[3]、症例数もまだ限られています。そのため、「CBDは犬の痒みに有効」と一般化できる段階ではありません。

Q2. 猫の痒みにも使えますか?

猫では皮膚のカンナビノイド関連分子やCBDの薬物動態・安全性に関する研究はありますが[5–7]、掻痒性皮膚疾患に対するCBDの臨床的有効性を示す十分な研究はありません。犬の研究結果を猫へそのまま当てはめるべきではありません。

Q3. ヒトではCBDが痒みに効くことが証明されていますか?

2025年のメタ解析では、広義のカナビス・カンナビノイド関連介入によって、掻痒に小さな統計学的改善が認められました[8]。ただし、この解析はCBD単独を対象としたものではありません。したがって、「CBDの抗掻痒効果がメタ解析で証明された」と解釈することはできません。

Q4. CBDを塗れば皮膚炎や外耳炎に使えますか?

現時点では、犬猫の特定の皮膚疾患や外耳炎に対するCBD外用の有効性を一般化できる十分な臨床試験はありません。ヒトの外用カンナビノイド研究の結果を犬猫へ直接適用することもできません。皮膚病変や外耳炎がある場合は、まず原因を診断し、必要な標準治療を受けることが重要です。

Q5. 今使っている皮膚の薬をCBDに置き換えられますか?

現時点では推奨できません。これまでの犬の臨床研究では、CBD関連製剤は主として既存治療に追加する補助的な使用として検討されています[1,2]。現在使用している薬を自己判断で減量・中止せず、変更を希望する場合は必ず主治医と相談してください。

Q6. CBDを使う場合、何を観察すればよいですか?

掻く・舐める頻度、皮膚の赤みや脱毛、睡眠、食欲、便の状態、活動性などを使用前から記録すると、変化を評価しやすくなります。また、新たな皮疹、肉球や口腔などの粘膜病変、食欲低下、消化器症状などが認められた場合には、使用を中止し、速やかに獣医師へ相談してください。


まとめ

犬のアトピー性皮膚炎では、CBDまたはCBD/CBDAを含む製剤によって掻痒が軽減したとする臨床研究が存在します。

一方、皮膚病変の改善を認めなかった研究や、対照群との比較で有効性を確認できなかった研究もあり、現時点で有効性はまだ確立していません。

猫では、皮膚のカンナビノイド関連分子やCBDの薬物動態・安全性について研究が進んでいるものの、掻痒性皮膚疾患に対する臨床的有効性は十分に検証されていません。

また、2025年のヒトのメタ解析ではカンナビノイド関連介入による小さな掻痒改善が報告されていますが、CBD単独の効果を示した解析ではなく、犬猫へ直接適用することもできません。

大切なのは、「CBDが効くか」を先に考えるのではなく、まず痒みの原因を正しく診断することです。

そのうえでCBD関連製剤を検討する場合には、標準的な治療を置き換えるものではなく、現時点の限られたエビデンス、安全性、製品品質を踏まえ、獣医師の管理下で補助的に評価していくことが適切です。


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本記事で解説した研究は、製品の効果を示すものではありません。使用を検討する際は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

参考文献

  1. Mogi C, Yoshida M, Kawano K, Fukuyama T, Arai T. Effects of cannabidiol without delta-9-tetrahydrocannabinol on canine atopic dermatitis: A retrospective assessment of 8 cases. Can Vet J. 2022;63(4):423–426. PMID: 35368394.
  2. Loewinger M, Wakshlag JJ, Bowden D, Peters-Kennedy J, Rosenberg A. The effect of a mixed cannabidiol and cannabidiolic acid based oil on client-owned dogs with atopic dermatitis. Vet Dermatol. 2022;33(4):329–e77. doi:10.1111/vde.13077.
  3. Mariga C, Souza Silva Mateus AL, dos Santos Dullius ÂI, da Silva AP, Martins Flores M, Vasconcelos Soares A, Amazonas E, Tadeu Lemos Pinto Filho S. Dermatological evaluation in dogs with atopic dermatitis treated with full-spectrum high cannabidiol oil: a pre study part 1. Front Vet Sci. 2023;10:1285384. doi:10.3389/fvets.2023.1285384.
  4. Mariga C, Manta MW, Dullius ÂIS, Bottari NB, Nauderer JN, Antoniazzi AQ, Almeida EA, Pinto Filho STL. Effects of cannabis oil in oxidative stress and cytokine gene expression in canine atopic dermatitis. Arq Bras Med Vet Zootec. 2026;78(4):e13659. doi:10.1590/1678-4162-13659.
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茂木千恵先生

監修:茂木 千恵 先生(獣医師・博士(獣医学)/日本アニマルCBD協会 学術顧問)

モンパニエ・動物臨床行動学研究室。犬アトピー性皮膚炎に対するCBD臨床研究 Mogi et al.(2022)筆頭著者。本記事を一次文献・系統的レビュー・診療ガイドラインに基づき監修。

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この記事を書いた人

アストラサナ広報担当。カンナビノイドをはじめとする健康情報をわかりやすくお伝え。
日本においても欧州水準まで身近にすることを目標に日々頑張っています。

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