網膜色素変性症に医療大麻は効果がある?症状緩和の可能性を最新の研究から解説

✍️ 本記事は、アストラサナ・ジャパンのKOL(Key Opinion Leader)である 正高佑志 医師 の執筆に基づいて作成されています。
CBDや大麻医療に関する最新の科学的エビデンスをわかりやすくお届けすることを目的としています。
なお、本記事の内容は特定の効果効能を保証するものではなく、診断・治療・予防を目的としたものではありません。

網膜色素変性症(RP)は、視野が狭くなる・暗い場所で見えにくくなるといった症状が進行する遺伝性の目の病気で、日本では指定難病に含まれます。有効な根治療法がないなか、症状緩和の選択肢として「医療大麻(カンナビノイド)」に関する研究が海外で報告されています。本記事では、症例報告・動物実験・臨床試験の知見をもとに、医療大麻と網膜色素変性症の関係、神経保護作用の可能性、そして症状緩和の可能性を、薬機法に配慮した表現で整理します。なお、以下は海外の研究知見の紹介であり、医療上の判断を代替するものではありません。

目次

網膜色素変性症(RP)とは?症状と現状

進行性の遺伝性疾患

網膜色素変性症は、網膜の視細胞が徐々に障害されていく進行性の遺伝性疾患です。

  • 初期症状:夜盲(暗い場所での視力低下)、視野狭窄(視野が狭くなる)
  • 進行例:中心視力の低下、色覚異常

日本における位置づけ

項目内容
病態網膜の視細胞が徐々に障害される進行性の遺伝性疾患
初期症状夜盲(暗所での視力低下)、視野狭窄
進行例中心視力の低下、色覚異常
位置づけ日本では指定難病。失明原因の上位
患者数2万人以上
治療有効な根治療法はなし

日本では指定難病に含まれ、患者数は2万人以上。有効な根治療法はなく、失明原因の上位を占めています。iPS細胞を用いた移植手術の臨床応用も始まっていますが、一般的な治療として普及するには時間がかかる見込みです。


医療大麻を使用した症例報告(米国・2016年)

アーノン医師による37歳男性の報告

2016年、米国サンフランシスコの放射線科医 ステファン・アーノン医師 は、網膜色素変性症を患う37歳男性のケースを報告しました。

項目内容
主な症状視力低下、頭痛、うつ、不眠
治療歴抗酸化ビタミン補給は効果なし。心理療法も改善なし
大麻使用後の変化ストレスが軽減し、気分・頭痛・不眠が改善。患者本人は視力低下の進行が遅くなったと自覚

このように、根本治療にはならなくても、随伴症状の改善につながる可能性があると考えられています。

これは1例の観察報告であり、効果を一般化できるものではありません。


動物実験からの知見:神経保護作用の可能性(スペイン・2014年)

アリカンテ大学の研究(ラット・合成THC)

2014年、スペイン・アリカンテ大学の研究チームは、網膜色素変性症ラットに 合成THC を投与しました。

  • 未治療群に比べ、光受容体の保存率が40%増加
  • 光受容体とニューロンとの接続性も改善

といった結果が得られ、神経保護的な作用が示唆されました。

動物実験の段階であり、ヒトでの効果が確立されたものではありません。


臨床試験の動き:イスラエルでの安全性試験(2018年〜)

ハダサ医療センターの安全性試験

イスラエル・ヘブライ大学ハダサ医療センターでは2018年から、RP患者と健常者を対象に 大麻舌下製剤(THC:CBD 1:1 または 1:40) の安全性試験を実施しています。ただし、現時点で結果は公開されていません。

項目内容
実施機関イスラエル・ヘブライ大学ハダサ医療センター
開始年2018年〜(実施中)
対象網膜色素変性症患者・健常者
製剤大麻舌下製剤(THC:CBD=1:1 または 1:40)
目的安全性の確認
結果現時点で未公開

まとめ:医療大麻は「症状緩和」の可能性

医療大麻が網膜色素変性症そのものの進行を止める「根本治療」になる可能性は低いと考えられます。しかし、頭痛・不眠・気分症状の改善 や、進行の緩和 に役立つ可能性は動物実験や症例から示唆されています。

本記事のポイント

知見内容
症例報告(米国2016年)大麻使用後にストレス・気分・頭痛・不眠が改善。進行が遅くなったと本人が自覚
動物実験(スペイン2014年)合成THCで光受容体の保存率が40%増加。神経保護作用を示唆
臨床試験(イスラエル2018年〜)安全性試験を実施中。結果は未公開
位置づけ根本治療の可能性は低いが、症状緩和の補助として可能性

今後の臨床研究の成果によって、難治性の視覚疾患に対する新しい補助療法としての可能性が広がるかもしれません。

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この記事を書いた人

アストラサナ広報担当。カンナビノイドをはじめとする健康情報をわかりやすくお伝え。
日本においても欧州水準まで身近にすることを目標に日々頑張っています。

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