スイスの医療用大麻企業アストラサナ・ホールディング、自閉症支援団体オーティズム・シュヴァイツの公式スポンサーに
スイスの医療用大麻メーカーであるアストラサナ・ホールディング株式会社は、スイスで自閉症に苦しむ個人や家族を支援する団体「オーティズム・シュヴァイツ（autismus schweiz）」へのパートナー支援を行うことを発表しました。このパートナー支援は、自閉症スペクトラム障害（ASD：Autism spectrum disorder）に関する認知を高めるとともに、自閉症に対する医療用大麻治療の可能性を探求することを目的としています。
アストラサナ・ホールディング株式会社は、自閉症を持つ人々に対する理解と支援を促進するオーティズム・シュヴァイツの使命に共感し、同団体が持つリソースと専門知識を活用して、自閉症を持つ人々とその家族の生活の質の向上を目指すために、公式スポンサー及び医療パートナーとして支援を行うことを決定いたしました。
自身もASD患者であるオーティズム・シュヴァイツのチームリーダーは、近年、自閉症と診断されるケースが増えているにもかかわらず、自閉症の人々とその家族に対する世間の理解が乏しいほか、ASDの症状や併存症に対する効果的な治療法が確立されていないという課題があると述べています。
また、オーティズム・シュヴァイツは、自閉症の診断と治療は複雑であることから、政府の支援が行き届いていないことも課題として挙げており、特に経済的に厳しい状況にある自閉症を持つ人々とその家族が、政府から受けられる支援を拡大させるための活動も行っています。
オーティズム・シュヴァイツは、「助ける、仲介する、つなぐ」というスローガンに基づき、政府と自閉症を持つ人々とその家族の橋渡し役となって、適切で必要な専門家の支援を受けられる環境整備に取り組んでいます。
グローバル・チーフ・メディカル・オフィサー
ジョゼッペ・プレバニ医師
アストラサナ・ホールディング株式会社グローバル・チーフ・メディカル・オフィサーのジョゼッペ・プレバニ医師は、近年、ASDの治療として医療用大麻への関心が高まっており、有望な臨床データ等も報告されていると述べています。
特に、身体全体に存在する細胞シグナリングシステムで様々な生理機能の調節に関与するエンドカンナビノイドシステム（ECS）との関係性に関する研究も進んでおり、カンナビスおよび関連化合物は、神経行動および神経学的症候群の有望な治療法として多くの研究の注目を集めています。
CBDが優勢の医療用大麻オイルによる治療では、不安が軽減され反復行動が減少されたケースや、社会的行動欠陥の軽減を目的としたTHC成分の重要性も指摘されています。
アストラサナ・ホールディング株式会社は、これらの医学的根拠に基づき、CBDおよびTHC優勢の医療用大麻オイルの処方や、オーティズム・シュヴァイツが行う教育セミナーや啓蒙活動を支援していきます。特に、これら教育セミナーでは、医療用大麻製品がASD症状の管理にどのように役立つかを医師が説明し、患者とその家族の理解を深めることで、人々が利用できる選択肢を広げ、個々の生活の質を向上させるための支援を行うことを目指しています。またこの支援の副次的な効果には、教育や就労の機会の増加、健康管理の改善、社会的なつながりの強化など、さまざまな要素が含まれます。私たちの支援活動は、個々のニーズや状況に応じた具体的な方法を通じて、より多くの人々に多様な選択肢を提供し、その結果、彼らの全体的な幸福感と生活満足度の向上を促進することを目標としています。
アストラサナ・ホールディング株式会社イヴ・アントニャッツィ代表取締役は、「オーティズム・シュヴァイツの重要な活動を支援し、スイス国内における自閉症の認知と治療の推進に貢献できることを光栄に思います。私たち医療用大麻企業の専門知識と、オーティズム・シュヴァイツの専門知識を結集することで、自閉症の人々とその家族の生活の質が向上されることを願っています」と述べました。
自閉症スペクトラム障害（ASD：Autism spectrum disorder）とは
「自閉症」という用語はギリシャ語に由来し、「非常に自己中心的であること」を意味します。この用語は1943年にレオ・カナーとハンス・アスペルガーによって、深刻な発達障害を持つ子供たちを説明するために初めて使用されました。自閉症はスペクトラムです（スペクトラムとは、意見・現象・症状などが、あいまいな境界をもちながら連続していること）。つまり、自閉症の人々の症状は人によって非常に異なることを意味しています。全く話さない人もいれば、非常に優れた口頭言語能力を持っているが、日常生活でそれを使うのが難しいと感じる人もいます。今日では、専門用語として自閉症スペクトラム障害（ASD）が使用されています。
参考文献
- ‘Autism and associated disorders: cannabis as a potential therapy’, Front Biosci (Elite Ed) 2022 Jan 13;14(1):1. doi: 10.31083/j.fbe1401001, Mariana Babayeva, Haregewein Assefa, Paramita Basu, Zvi Loewy, PMID: 35320905, DOI: 10.31083/j.fbe1401001
- ‘Behavioral aspects and neurobiological properties underlying medical cannabis treatment in Shank3 mouse model of autism spectrum disorder’, Transl Psychiatry, 2021 Oct 13;11(1):524. doi: 10.1038/s41398-021-01612-3, Shani Poleg, Emad Kourieh, Angela Ruban, Guy Shapira, Noam Shomron, Boaz Barak, Daniel Offen, PMID: 34645786, PMCID: PMC8514476, DOI: 10.1038/s41398-021-01612-3
- ‘Cannabinoid treatment for the symptoms of autism spectrum disorder’, Expert Opin Emerg Drugs, 2024 Mar;29(1):65-79, doi: 10.1080/14728214.2024.2306290. Epub 2024 Jan 23, Adi Aran, Dalit Cayam Rand, PMID: 38226593, DOI: 10.1080/14728214.2024.2306290
- Project CBD 自閉症
オートイズム・シュヴァイツ（autismus schweiz）について
ウェブサイト：Autismus.ch | Autism Switzerland
1975年、スイスの自閉症協会（autism switzerland）として、自閉症の子供を持つ親たちの団体として、自閉症の人々、その親や親族の生活条件を改善することを目的として設立されました。また、自閉症の子供や若者が社会的に不利な状況にある場合には、適切な学校教育と就労を支援することも主要な目標の一つです。自閉症を持つ若者が有益な雇用を追求し、労働の世界にその可能性を活かせるようにすべきであるという考えの元、autism switzerlandはスイスにおける自閉症分野で最も重要な組織に成長しました。
「助ける、仲介する、つなぐ」－このスローガンは、親族、自閉症の影響を受けた人々、そして専門家の支援を受けられる環境を整える協会の役割を示しています。
過去5年間で、同協会のサービスの専門性と範囲の拡大を遂げましたが、すべての利害関係者をつなぐことを目指し、2023年末に「autism germany switzerland」は「autism switzerland」と改名し、スイス全土をつなぐ再編成を行いました。その結果、autisme suisseやautismo svizzeraとの協力体制が確立され、各団体の専門知識やサービスが更に活用されるようになったことで、自閉症を持つ人々やその家族のためにより広範囲な支援を提供するようになりました。
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