【開催報告】CBDは医薬品になる?薬剤師・藤戸淳夫氏が解説した日本のカンナビノイド医療とヘルスケアのこれから

オンラインセミナー「CBDは医薬品になる?日本のカンナビノイド医療とヘルスケアのこれから」2026年10月13日 登壇:藤戸淳夫氏

株式会社藤乃森とswisscan® アストラサナ・ジャパン株式会社は、2026年10月13日(火)18:00〜19:00、オンラインセミナー「CBDは医薬品になる? 日本のカンナビノイド医療とヘルスケアのこれから」を共同開催しました。講師には、株式会社藤乃森 代表取締役社長で薬剤師・博士(薬学)の藤戸淳夫氏をお迎えしました。

目次

このセミナーの結論

藤戸氏が示した答えは、「CBDは医薬品になり得る。ただしそれは、臨床試験と国の承認を経た、高純度・高用量で医師の管理下に用いるCBDである」というものでした。日本では現在、承認に向けた最後の段階として「日本人での科学的データ」の確認が進められています。そして、医薬品としてのCBDと、食品・化粧品として流通するCBD製品は、別の道を別のルールで進むものだと整理されました。

開催概要

日時2026年10月13日(火)18:00〜19:00
形式オンライン(Zoom)/講演45分・質疑応答15分
講師藤戸 淳夫 氏(株式会社藤乃森 代表取締役社長/薬剤師・博士(薬学))
共催株式会社藤乃森/swisscan® アストラサナ・ジャパン株式会社

講演内容のポイント

講演は6つの章で構成されました。冒頭で、本講演は研究知見と法制度の紹介を目的とし、特定製品による疾病の治療・予防効果を示すものではないこと、情報は2026年10月時点のものであることが示されました。

1. 基礎:CBDとTHCの違い、エンドカンナビノイドシステム(ECS)

CBD(カンナビジオール)とTHC(テトラヒドロカンナビノール)は、同じアサ(Cannabis sativa L.)に含まれる成分でありながら、性質が異なります。THCは日本では麻薬に区分される一方、CBDは麻薬に該当しません。世界保健機関(WHO)の薬物依存専門家委員会は2018年の報告で、CBDについて乱用・依存の可能性を示す所見はないと評価しています。あわせて、体内でつくられる内因性カンナビノイド(アナンダミド、2-AGなど)、受容体(CB1・CB2)、分解酵素からなるエンドカンナビノイドシステム(ECS)の仕組みが紹介されました。

2. CBDが医薬品になるまで:海外での開発の経緯

CBDを有効成分とする医薬品は、既存の治療で発作が抑えにくい、小児期発症の希少な難治てんかん(ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症に伴う発作)を対象に開発されました。対照群のない段階から、二重盲検・プラセボ対照の第3相試験へと進み、2018年に米国食品医薬品局(FDA)、2019年に欧州で承認されています。スイスでも2021年に承認されました。

藤戸氏は薬剤師の視点として、「論文がある」ことと「製品として効能をうたえる」ことは別であり、効能を表示できるのは医薬品として承認されたものに限られると強調しました。不安、睡眠、疼痛などの領域は、現在も研究が進められている段階として紹介されました。

3. 日本での歩み:要望・治験・承認への道

日本での動きは、次の流れで整理されました。

  • 2019年:国会で「治験での使用は可能」との政府答弁。患者会・学会が承認を要望
  • 2022年12月:国内第3相試験を開始
  • 2024年:希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定が了承。12月に改正法が施行
  • 2026年4月:日本臓器製薬株式会社が国内での承認申請・販売を担うことが発表

2026年10月時点で承認申請の時期は公表されておらず、成人を含む全体の結果や長期安全性の公表が今後の注目点とされました。また、承認を待つ間の取り組みとして、国の研究費による特定臨床研究「I-CANN Japan trial」も紹介されました。

患者会・学会が求めてきたのは、臨床試験で確かめられた「医薬品としてのCBD」であり、医薬品の根拠と一般のCBD製品は分けて評価されている点も、国内外の学会・評価機関の見解とともに解説されました。

4. 日本の法制度:「部位規制」から「成分規制」へ

2024年12月の改正法施行により、規制の考え方は「どの部位から採ったか」から「何がどれだけ含まれるか」へ変わりました。製品中のΔ9-THC残留限度値は、油脂(常温で液体)・粉末で10ppm、水溶液で0.1ppm、その他で1ppmと定められ、これを超えると麻薬として扱われます。事業者の責任は「原料の出どころの証明」から「製品ごとの成分分析」へ移り、ロットごとの分析が欠かせなくなりました。

また、2026年6月1日にはCBN(カンナビノール)が指定薬物となり、規制が成分単位で速く動くことも示されました。

5. 安全性:薬剤師が注目する3つのポイント

  • 肝機能:医薬品の臨床試験で肝酵素の上昇が報告されている
  • 眠気:アルコールや中枢に作用する薬との併用、運転時に注意
  • 薬物相互作用:CBDは肝臓の代謝酵素(CYP3A4・CYP2C19)に関わるため、服用中の薬との組み合わせに注意

英国・EUでは、服薬中の方や妊娠・授乳中の方などへの注意喚起が行われていることも紹介されました。

6. 薬剤師・薬局の役割

薬剤師・薬局が果たせる役割として、「相談に応じる(服用中の薬や妊娠・授乳の有無の確認)」「情報を翻訳する(『研究されている』と『効く』の違いを生活者の言葉で伝える)」「安全を見守る(体調変化の聞き取りと受診勧奨)」の3点が挙げられました。スイスでは提携薬局が医療用大麻の処方応需と患者相談の拠点になっている例も紹介されました。

Take Home Message:CBDは「成分」ではなく「根拠」で語る

  • 効くと言えるのは、試験を経て承認された製剤だけ
  • 店頭のCBDは「品質」と「正確な情報」で選ぶ
  • 服薬中の方は、まず薬剤師に相談を

事業者に向けては、「効能はうたわない」「ロット別の分析証明書(COA)、THCの区分と分析値、1日量を示す」「『服薬中の方は医師・薬剤師へ』と必ず添える」という具体的なアクションが示されました。

主催者より

ご参加いただいた皆さま、そしてご登壇いただいた藤戸淳夫先生に、心より御礼申し上げます。

swisscan®は、スイス産のカンナビノイド原料を使用したウェルネスブランドです。今回のセミナーで示された「品質」と「正確な情報」の大切さは、私たちが日々大切にしていることでもあります。swisscan®のCBDオイルは、THCをロットごとに検査しています。今後も、研究や科学的知見に基づいた正確な情報発信に取り組んでまいります。

株式会社藤乃森とアストラサナ・ジャパン株式会社は、今後もCBDを医療とヘルスケアの両面から考える機会を設けてまいります。

よくあるご質問

Q. CBDは日本で医薬品として承認されていますか?

2026年10月時点で、CBDを有効成分とする医薬品は日本では未承認です。国内第3相試験が行われ、2026年4月に日本臓器製薬株式会社が承認申請・販売を担うことが発表されています。

Q. 医薬品のCBDと、食品・化粧品のCBD製品は何が違いますか?

医薬品は臨床試験と国の審査を経て、効能効果を表示できます。食品・化粧品のCBD製品は承認を必要としない代わりに、疾病の治療・予防などの効能効果はうたえません。両者は別のルールのもとで扱われています。

Q. CBD製品を選ぶときは何を確認すればよいですか?

講演では、ロットごとの分析証明書(COA)、THCの分析値、1日量などの情報が示されているかを確認することが勧められました。服薬中の方は、医師・薬剤師にご相談ください。


講師プロフィール

藤戸 淳夫(ふじと あつお)
株式会社藤乃森 代表取締役社長/薬剤師・博士(薬学)

鈴鹿医療科学大学薬学部卒業。JCHO四日市羽津医療センター薬剤部を経て、2019年より藤戸薬局。2024年、鈴鹿医療科学大学大学院 薬学研究科 博士課程修了。同年、株式会社藤乃森を創業。四日市医師会看護専門学校 非常勤講師(薬理学)。老年薬学認定薬剤師、未病サポート薬剤師ほか。

※本記事は、セミナーの講演内容を主催者がまとめたものです。研究段階の内容を含み、特定のCBD製品による疾病の治療・予防効果を示すものではありません。記載の情報は2026年10月時点のものです。個別の法的判断は専門家・所管行政へご確認ください。

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