✍️ 本記事は、アストラサナ・ジャパンのKOL(Key Opinion Leader)である 正高佑志医師 の執筆に基づいて作成されています。
CBDや大麻医療に関する最新の科学的エビデンスをわかりやすくお届けすることを目的としています。
なお、本記事の内容は特定の効果効能を保証するものではなく、診断・治療・予防を目的としたものではありません。
コロナ後遺症とは?

コロナ後遺症(ロングCOVID、post-COVID-19症候群)とは、新型コロナに感染した人が回復後も体調不良や不快な症状に悩まされる状態を指します。
世界保健機関(WHO)は「感染から3か月以内に始まり、2か月以上続き、他の病気では説明できない症状」と定義しています。
コロナ後遺症の実態
報告によれば、コロナ感染者の 約10〜30% に後遺症が見られるとされ、軽症や無症状であった人にも発症します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発症率 | 感染者の10〜30% |
| 発症リスクが高い人 | 女性、40〜60代、基礎疾患のある人 |
| 軽症者の発症 | 軽症・無症状でも後遺症が出る可能性あり |
主な症状
症状は多岐にわたり、代表的なものとして:
認知機能の症状
- ブレインフォグ(集中力・記憶力の低下)
- 頭痛
- 不安
- 抑うつ
- 睡眠障害
身体的な症状
- 息切れ
- 胸痛
- 慢性的な疲労
- 筋肉痛
循環器系の症状
- 動悸や血圧変動
- めまい
- 心拍の不整
現在の治療状況
現在、確立された治療薬は存在せず、それぞれの症状に対する 「対症療法」 が中心です。
このため、CBDを含むカンナビノイド製品が新しい治療の選択肢として注目を集めています。
なぜCBDが注目されるのか

コロナ後遺症でよく見られる 疲労、不眠、不安、痛み、抑うつ、認知障害 は、すでにCBDが応用されてきた症状と重なります。
CBDの特性
さらに、CBDには以下のような性質があることが知られています:
| 特性 | コロナ後遺症への期待 |
|---|---|
| 抗炎症作用・免疫調整作用 | 慢性炎症や免疫異常にアプローチできる可能性 |
| 自律神経の調整作用 | 心拍の乱れやめまいなど、自律神経失調症状への効果 |
| 安全性の高さ | 高用量の臨床試験でも重大な副作用が少なく、長期使用に適している |
こうした背景から、「CBDはコロナ後遺症に役立つかもしれない」という期待が高まってきました。
イギリスでの臨床試験

2024年、British Journal of Clinical Pharmacology にイギリス発の臨床試験結果が掲載されました。
研究を主導したのは、薬理学者ナット博士が設立した独立科学団体 Drug Science の研究チームです。
研究デザイン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | コロナ後遺症と診断された12名(女性11人・男性1人、平均年齢45歳) |
| 投与 | フルスペクトラムCBDオイル「MediCabilis」を1日最大3mLまで |
| 期間 | 約5か月間 |
| 評価項目 | 疲労、不安、抑うつ、睡眠の質、痛み、QOL(生活の質)などの自己報告 |
| 客観的測定 | Fitbitによる睡眠や心拍の測定 |
結果
安全性
重篤な副作用は報告されず、全員が継続可能だった。
改善傾向
3〜4か月目あたりから、不安や抑うつ、睡眠の質に改善傾向。
中止後の再悪化
CBDをやめた後に、一部の症状が再び悪化したケースも確認。
研究の限界
⚠️ 重要な注意点
ただし、この研究には 対照群(プラセボ群)がなかった ため、「CBDが直接効いた」と断定することはできません。
意義と限界

意義
この研究の重要なポイント:
- 世界初: コロナ後遺症に対してCBDを用いた世界初の臨床試験
- 安全性の確認: 副作用が少なく、長期継続しやすいことを確認
- 改善の兆候: 一部の症状で改善傾向が観察された
限界
一方で、以下の限界があります:
| 限界 | 詳細 |
|---|---|
| 参加者が少数 | 12名のみ |
| 対照群なし | プラセボとの比較ができない |
| 多様性の欠如 | 被験者の大半が白人女性であり、他の人種や年齢層への一般化には慎重さが必要 |
日本との違い

規制上の課題
今回使用されたのは フルスペクトラムCBD製品 ですが、日本では以下の状況です:
| 項目 | 日本 | イギリス・EU |
|---|---|---|
| フルスペクトラムCBD | 規制上「麻薬」に該当し医療現場での使用困難 | 研究と実用化が進んでいる |
| 医療用CBD | 承認なし | 一部承認済み(Epidiolexなど) |
| 研究環境 | 制限が多い | 比較的進んでいる |
その一方で、欧州や英国では研究と実用化が着実に進んでおり、国際的にCBDの可能性が広がっています。
まとめ
今回の研究は「CBDがコロナ後遺症に効果を示す可能性がある」ことを示した初めての臨床試験です。
重要なポイント
結論を出すにはさらなる大規模研究が必要ですが、CBDが新しい治療の選択肢になり得ることを示した重要な一歩でした。
今後、より多くの参加者とプラセボ群を含む研究が進むことで、CBDがコロナ後遺症の治療にどう位置づけられるのかが明らかになっていくでしょう。
よくある質問
コロナ後遺症とは何ですか?
コロナ後遺症(ロングCOVID、post-COVID-19症候群)とは、新型コロナウイルス感染症から回復した後も、長期間にわたって症状が続く状態です。
WHOの定義では「感染から3か月以内に始まり、2か月以上続き、他の病気では説明できない症状」とされています。
主な特徴
- 感染者の10〜30%に発症
- 軽症・無症状の人にも起こる
- 女性、40〜60代、基礎疾患のある人に多い傾向
CBDはコロナ後遺症に効果がありますか?
今回のイギリスの研究では、一部の症状(不安、抑うつ、睡眠の質)で改善傾向が見られました。
ただし、以下の点に注意が必要です:
注意点
- 参加者が12名と少数
- プラセボ群がなく、科学的な因果関係は未確定
- さらなる大規模研究が必要
現時点では「可能性がある」という段階であり、確立された治療法ではありません。
日本でもCBDでコロナ後遺症を治療できますか?
現在、日本ではCBDをコロナ後遺症の治療として使用することは認められていません。
日本の現状
- CBDは健康食品・化粧品としてのみ流通
- 医薬品としての承認なし
- フルスペクトラムCBD製品は規制対象
コロナ後遺症でお悩みの場合は、必ず医療機関(コロナ後遺症外来、総合診療科など)を受診してください。
どのような症状がCBDで改善する可能性がありますか?
今回の研究で改善傾向が見られた症状:
| 症状 | 改善の兆候 |
|---|---|
| 不安 | 3〜4か月目から改善傾向 |
| 抑うつ | 3〜4か月目から改善傾向 |
| 睡眠の質 | 改善が報告された |
| 疲労 | 一部で改善 |
ただし、すべての人に効果があるわけではなく、個人差があります。
CBDの副作用はありますか?
今回の研究では、重篤な副作用は報告されず、12名全員が5か月間継続できました。
一般的に報告されるCBDの軽度な副作用
- 眠気
- 口渇
- 下痢
- 食欲の変化
ただし、他の薬との相互作用の可能性があるため、服薬中の方は必ず医師に相談してください。
今後どのような研究が必要ですか?
より科学的な証拠を得るためには、以下の研究が必要です:
| 研究課題 | 内容 |
|---|---|
| 大規模臨床試験 | 参加者数を増やす(100名以上) |
| プラセボ対照試験 | プラセボ群との比較で真の効果を検証 |
| 多様性の確保 | 人種、年齢、性別などの多様な集団で検証 |
| 用量反応関係 | 最適な投与量の特定 |
| 長期追跡 | 1年以上の長期効果と安全性の確認 |
出典
- World Health Organization (WHO). A clinical case definition of post COVID-19 condition by a Delphi consensus, 6 October 2021. https://www.who.int/publications/i/item/WHO-2019-nCoV-Post_COVID-19_condition-Clinical_case_definition-2021.1
- Thurgur H, Nutt DJ. An open-label observational study of cannabidiol for the treatment of long COVID symptoms. Br J Clin Pharmacol. 2024. https://bpspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/bcp.16141
免責事項
本記事は、学術研究の結果を一般向けにわかりやすく要約した情報提供です。疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。
コロナ後遺症やその他の健康問題でお悩みの場合は、必ず医師・専門家にご相談ください。
CBDの使用については、日本の法規制を遵守し、信頼できる製品を選ぶことが重要です。
この記事の監修者

正高佑志 医師
アストラサナ・ジャパン KOL(Key Opinion Leader)
1985年生まれ。医師。熊本大学医学部医学科卒。一般社団法人GREEN ZONE JAPAN代表理事&臨床カンナビノイド学会副理事長として、大麻草の安全性や有用性に関する啓発活動に従事。著書『お医者さんがする大麻とCBDの話』など。
専門分野:カンナビノイド医療、精神医学、依存症治療


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