CBDは認知機能を改善する?36の臨床試験から分かった効果と可能性【2025年最新レビュー】

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✍️ 本記事は、アストラサナ・ジャパンのKOL(Key Opinion Leader)である 正高佑志 医師 の執筆に基づいて作成されています。
CBDや大麻医療に関する最新の科学的エビデンスをわかりやすくお届けすることを目的としています。
なお、本記事の内容は特定の効果効能を保証するものではなく、診断・治療・予防を目的としたものではありません。



目次

CBDと認知機能の関係とは

THCとCBDの違い

大麻由来の成分と聞くと、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは精神活性作用を持つ THC(テトラヒドロカンナビノール) かもしれません。

THCは「ハイ」を引き起こす一方で、短期的に記憶力や注意力を低下させることが知られています。

項目THCCBD
精神活性作用あり(「ハイ」)なし
記憶力への影響短期的に低下ほぼ影響なし
注意力への影響短期的に低下ほぼ影響なし
安全性懸念あり高い

CBDが注目される理由

それに対して、CBD(カンナビジオール) には精神活性作用がなく、安全性が高いことが大きな特徴です。

抗炎症作用や神経を保護する働きが期待され、不安障害や睡眠障害、さらには神経変性疾患(パーキンソン病など)への応用可能性が研究されてきました。

では、CBDは人間の「認知機能」にどのような影響を与えるのでしょうか?

今回ご紹介するのは、ヒトを対象とした無作為化比較試験(RCT)を体系的にまとめた最新のレビュー研究です。

👉 原文はこちら:Behavioural Pharmacology誌


研究の概要

研究方法と対象

研究者はPubMed/Medlineを用いて膨大な文献検索を行い、1,038本の論文から最終的に36本のRCTを抽出しました。

項目詳細
文献検索数1,038本
最終抽出数36本のRCT
投与量範囲75mg〜1000mg超
投与方法経口カプセル、オイル、吸入

対象となった患者グループ

対象は非常に幅広く、

  • 健康な被験者
  • パーキンソン病患者
  • 精神疾患患者(不安障害、PTSDなど)
  • 統合失調症患者
  • 物質使用障害患者

といったグループが含まれています。

投与方法と投与量

CBDの投与方法も多様で、経口カプセルやオイル、電子タバコを用いた吸入などが試され、投与量は 75mg〜1000mg超 と大きな幅がありました。


健康な参加者での効果

健常者を対象とした研究が特に多く、単回投与による脳機能測定が中心です。

600mg単回投与の結果

600mg単回投与 のfMRI研究では、脳のネットワーク活動に一部の変化が確認されましたが、記憶や注意力といった認知テストの点数には明確な改善も悪化もなし

不安・ストレス軽減効果

一方、模擬スピーチ課題(人前で話す不安を誘発する試験)では、CBD群で不安やストレスが軽減しました。

低用量での言語記憶向上

低用量(例:12.5mg吸入) では、言語記憶の成績が向上したという報告もありました。

健康な被験者での投与量別効果

投与量投与方法効果
12.5mg吸入言語記憶の成績向上
600mg経口(単回)脳ネットワーク活動に変化、認知テストは変化なし
600mg経口(模擬スピーチ)不安・ストレス軽減

つまり、健常者では「強い効果はないが、不安や緊張を伴う状況でプラスの作用をもたらす可能性」が示唆されています。


パーキンソン病患者への効果

日常生活動作の改善

CBDの投与(75〜300mg/日)によって、日常生活動作の改善睡眠の質向上が見られました。

睡眠の質向上

不安の軽減にもつながる可能性が示されています。

認知機能への影響

ただし、記憶力や注意力といった認知機能そのものの改善は限定的でした。

パーキンソン病患者での効果まとめ

評価項目結果
日常生活動作✅ 改善
睡眠の質✅ 向上
不安✅ 軽減の可能性
記憶力❌ 改善は限定的
注意力❌ 改善は限定的

精神疾患領域での効果

この分野では研究数が多く、注目すべき結果が得られています。

不安障害への効果

300〜400mg投与で不安が有意に低下したとの結果が得られています。

PTSDへの効果

PTSD患者では100mg前後の比較的低用量でも睡眠の質改善や気分安定が確認されました。

精神疾患領域での効果まとめ

疾患投与量主な効果
不安障害300〜400mg不安の有意な低下
PTSD100mg前後睡眠の質改善、気分安定

間接的な認知機能への影響

直接的な「認知機能改善」ではないものの、不安や睡眠障害を軽減することで、間接的に認知への好影響を与える可能性があります。


統合失調症患者への効果

統合失調症や精神病症状の患者には、600〜1000mgと高用量のCBDが用いられました。

陽性症状の軽減

一部で妄想や幻覚などの陽性症状が軽減

認知機能への影響

ただし記憶や注意力といった認知改善はほとんど確認されず

THCとの相互作用

加えて、CBDはTHCによる精神症状を打ち消す可能性があるとも報告されています。


物質使用障害患者への効果

認知機能への影響

アルコールや大麻などの使用障害患者を対象とした研究では、CBDによる認知機能の改善はほとんど見られませんでした

安全性の確認

ただし、安全性の面では問題なく、副作用も軽度にとどまった点は重要です。


対象グループ別の効果まとめ

これまでのグループの結果を一覧にしてまとめます。

対象グループ投与量認知機能への効果その他の効果
健康な被験者12.5〜600mg限定的不安・ストレス軽減
パーキンソン病75〜300mg/日限定的日常生活動作改善、睡眠の質向上
不安障害・PTSD100〜400mg間接的な可能性不安軽減、睡眠改善
統合失調症600〜1000mgほぼ確認されず陽性症状軽減(一部)
物質使用障害不明ほぼ確認されず安全性確認

研究から見えた課題

この研究の結論は以下のとおりです。

対象者結論
健常者認知改善は限定的だが、不安状況下では有効性の可能性
パーキンソン病生活の質や睡眠改善に寄与、認知改善は限定的
不安障害・PTSD不安や睡眠改善を通じて間接的な効果の可能性
統合失調症陽性症状軽減は一部確認、認知改善は弱い
物質使用障害認知機能への効果は限定的

投与量・投与法のばらつき

大きな課題は、投与量や投与法が研究ごとに異なるという点です。

長期効果の未検証

単回投与研究が多く、長期効果が検証されていない

評価方法の不統一

認知機能の評価方法が統一されていない

研究の課題まとめ

課題詳細
投与量・投与法研究ごとに異なる
研究期間単回投与が多く、長期効果未検証
評価方法認知機能の評価方法が統一されていない

今後の展望

CBDは 安全性が高く副作用が軽度 という大きな利点があります。

ただし、認知機能改善薬としての科学的根拠はまだ不十分です。

長期的な投与試験の必要性

今後は、長期的な投与試験が重要になります。

高齢者・神経変性疾患患者への研究

高齢者や神経変性疾患患者を対象とした研究の拡充が求められます。

認知症患者への臨床応用

THCとの相互作用を含めた検証認知症患者への臨床応用といったテーマが重要になっていくでしょう。

CBDは「副作用が少ない安心できる成分」として期待されていますが、その認知機能への影響はまだ明確ではありません。

しかし、不安や睡眠の改善に寄与する可能性が繰り返し示されており、今後の臨床研究の発展が待たれます。

CBD市場が拡大を続ける今こそ、科学的エビデンスに基づいた正しい理解 が求められています。


よくある質問(FAQ)

CBDは記憶力を改善しますか?

健康な成人では明確な改善効果は確認されていません。

研究結果

  • 600mg単回投与では記憶テストの点数に変化なし
  • 12.5mg吸入では言語記憶の成績が向上した報告あり
  • パーキンソン病患者では改善は限定的

投与量による違い

投与量投与方法記憶力への効果
12.5mg吸入✅ 言語記憶向上
600mg経口(単回)❌ 変化なし

重要: 投与量や方法によって結果が異なる可能性があります。大規模な長期試験が必要です。


CBDは集中力を高めますか?

集中力(注意力)への明確な改善効果は確認されていません。

研究結果

  • 健康な被験者では注意力テストに変化なし
  • パーキンソン病患者でも改善は限定的

間接的な効果の可能性

ただし、不安やストレスを軽減することで、間接的に集中しやすい状態を作る可能性はあります。

: 模擬スピーチ課題では、600mg投与で不安・ストレスが軽減されました。


CBDに副作用はありますか?

副作用は軽度で、安全性が高いことが確認されています。

36の臨床試験の結果

  • 副作用は軽度にとどまる
  • 物質使用障害患者でも安全性に問題なし
  • 高用量(600〜1000mg)でも重大な副作用の報告なし

CBDの大きな利点

「安全性が高く副作用が軽度」という点が、CBDの最大の利点です。

重要: ただし、個人差があるため、高用量を試す場合は必ず医師に相談してください。


どのくらいの量を摂取すれば効果がありますか?

目的によって必要な投与量が異なります。

研究で使用された投与量

目的投与量
不安軽減(健康な人)600mg(単回)
不安障害の改善300〜400mg
PTSD症状の改善100mg前後
パーキンソン病の症状改善75〜300mg/日
統合失調症の症状軽減600〜1000mg
言語記憶向上12.5mg(吸入)

注意点

研究で使用された投与量は、一般的なサプリメントよりもはるかに高用量です。

重要: 自己判断での高用量摂取は避け、医師に相談してください。


健康な人がCBDを摂取しても効果がありますか?

認知機能の改善効果は限定的ですが、不安・ストレス軽減効果は確認されています。

健康な被験者での研究結果

  • 記憶力・注意力の改善はほとんどなし
  • 模擬スピーチ課題(不安を誘発する状況)では不安・ストレスが軽減
  • 低用量(12.5mg吸入)で言語記憶が向上した報告あり

つまり

健康な人では、「不安や緊張を伴う状況でプラスの作用をもたらす可能性」があります。

:

  • プレゼンテーション前
  • 試験前
  • 重要な会議前

このような状況で、不安やストレスを軽減する目的での使用が考えられます。


パーキンソン病にCBDは効果がありますか?

日常生活動作や睡眠の質改善に寄与しますが、認知機能の改善は限定的です。

研究結果

評価項目効果
日常生活動作✅ 改善
睡眠の質✅ 向上
不安✅ 軽減の可能性
記憶力❌ 改善は限定的
注意力❌ 改善は限定的

投与量

75〜300mg/日

臨床的意義

パーキンソン病患者の生活の質(QOL)向上には寄与する可能性があります。

重要: パーキンソン病の治療として使用する場合は、必ず医師に相談してください。標準治療との併用については、医師の指導が不可欠です。


まとめ

このレビュー研究から、以下のことが明らかになりました。

認知機能への直接的効果は限定的

健康な成人やパーキンソン病患者において、CBDは記憶力や注意力といった認知機能を直接的に改善する効果は限定的でした。

不安・睡眠改善を通じた間接的効果

一方で、不安障害やPTSD患者では不安や睡眠の改善が確認されており、これらを通じた間接的な認知機能への好影響の可能性があります。

高い安全性

36の臨床試験すべてで、CBDの副作用は軽度であり、安全性が高いことが確認されました。

今後の課題

  • 長期的な投与試験
  • 投与量・投与法の標準化
  • 認知機能評価方法の統一
  • 高齢者・認知症患者への応用研究

CBDは「副作用が少ない安心できる成分」として期待されていますが、認知機能改善薬としての科学的根拠はまだ不十分です。

今後の大規模で長期的な臨床研究の発展が待たれます。


出典一覧

Osuagwu FC, Freeman TP, et al. Cannabidiol and cognition: A literature review of randomized controlled trials in humans. Behav Pharmacol. 2025;36(4):243-259.
https://journals.lww.com/behaviouralpharm/fulltext/2025/08000/cannabidiol_and_cognition__a_literature_review_of.1.aspx

この記事の監修者

dr.masataka

正高佑志 医師
アストラサナ・ジャパン KOL(Key Opinion Leader)

1985年生まれ。医師。熊本大学医学部医学科卒。一般社団法人GREEN ZONE JAPAN代表理事&臨床カンナビノイド学会副理事長として、大麻草の安全性や有用性に関する啓発活動に従事。著書『お医者さんがする大麻とCBDの話』など。

専門分野:カンナビノイド医療、精神医学、依存症治療

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この記事を書いた人

アストラサナ広報担当。カンナビノイドをはじめとする健康情報をわかりやすくお伝え。
日本においても欧州水準まで身近にすることを目標に日々頑張っています。

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