抗がん剤の副作用「しびれ」にCBDは効果がある?最新研究から医師が解説【2024年版】

✍️ 本記事は、アストラサナ・ジャパンのKOL(Key Opinion Leader)である 正高佑志 医師 の執筆に基づいて作成されています。
CBDや大麻医療に関する最新の科学的エビデンスをわかりやすくお届けすることを目的としています。
なお、本記事の内容は特定の効果効能を保証するものではなく、診断・治療・予防を目的としたものではありません。

目次

化学療法によるしびれ(CIPN)とは

抗がん剤治療を受ける患者さんにとって、末梢神経障害(CIPN: Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy) は代表的な副作用のひとつです。

CIPNの主な症状

症状詳細
手足のしびれ最も一般的な症状
痛み刺すような痛み、焼けるような痛み
感覚の異常温度感覚の低下、触覚の鈍化
筋力低下握力低下、歩行困難

といった症状が、治療中だけでなく終了後も長期間続くことがあります

CIPNを引き起こしやすい抗がん剤

特に以下の薬剤が原因となりやすいことが知られています。

薬剤分類代表的な薬剤
タキサン系パクリタキセル
プラチナ製剤シスプラチン、オキサリプラチン
ビンカアルカロイド系ビンクリスチン
プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ

現在の治療法と課題

現状では確立された治療法は少なく、抗うつ薬や抗けいれん薬の投与、冷却療法などが試みられていますが、十分な効果は得られていません


なぜカンナビノイドが注目されるのか

研究の始まり

CIPNに対する大麻やCBDの研究は、1980〜90年代にエイズ患者への自己治療経験から始まりました

サンフランシスコでは「ブラウニー・メアリー」と呼ばれる活動家が、大麻入りブラウニーを配って痛みや食欲不振を和らげたことがきっかけとなり、その後の臨床研究へとつながりました。

HIV患者での成功事例

実際にカリフォルニア大学の研究では、大麻を使用したHIV患者の慢性神経障害性疼痛が軽減することが示され、CIPNにも応用できるのではないかと注目が集まりました。


臨床研究の変遷

初期の臨床研究(2014年、カナダ)

2014年、カナダの研究チームは THC:CBD=1:1製剤「サティベックス」 を用いてCIPN患者16名を対象に試験を実施。

結果詳細
全体統計的有意差はなし
一部の患者痛みが有意に軽減

小規模ながら**「有望性」を示すデータ**となりました。


イスラエルの研究(2021年)

オキサリプラチン治療を受けた消化管がん患者768名を調査。

結果詳細
神経障害発症率大麻使用群で低下
特に効果が顕著抗がん剤投与前から大麻を使っていた患者
追加の発見大麻が抗がん剤治療の継続を助ける可能性

Mayo Clinicの症例報告(2021年、アメリカ)

CIPN患者22名にインタビュー。

局所用CBDやCBD+THCクリームで 痛みが数分以内に軽減し、数時間〜一晩持続した とする症例報告がまとめられました。


デンマークの研究(2022年)

CBD 300mg/日を抗がん剤投与前から8日間投与。

対象結果
大腸がん患者群(CAPOX療法)冷感異常などの症状が有意に軽減
他のレジメン改善は限定的

Mayo Clinicの二重盲検試験(2024年、アメリカ)

CBDアイソレートクリーム(0.5%濃度) を用いた40名の二重盲検クロスオーバー試験。

結果詳細
主評価項目有意差なし
安全性良好で副作用もほとんどなし

研究者は「フルスペクトラム製剤や高濃度CBDでの再検証が必要」と指摘しています。


研究結果のまとめ

臨床研究の一覧

対象製剤結果
2014カナダCIPN患者16名サティベックス(THC:CBD=1:1)一部で痛み軽減
2021イスラエル消化管がん患者768名大麻神経障害発症率低下
2021米国CIPN患者22名局所CBD/THCクリーム痛み軽減(数分〜数時間)
2022デンマーク大腸がん患者CBD 300mg/日冷感異常が軽減
2024米国CIPN患者40名CBDクリーム0.5%主評価項目で有意差なし

有効性を示す結果

効果エビデンス
痛みの軽減一部の患者で確認
神経障害発症の予防イスラエルの研究で示唆
冷感異常の軽減デンマークの研究で確認(一部)

効果が限定的だった結果

  • 2024年のMayo Clinic研究では、CBDアイソレートクリーム(0.5%)で有意差なし
  • 他のレジメン(CAPOX以外)では改善は限定的

安全性の確認

すべての研究で安全性は良好であり、忍容性(使いやすさ)も繰り返し確認されています。


現在の評価と課題

国際的なガイドラインの見解

国際的なガイドライン(米国臨床腫瘍学会, 2020年)では「経口カンナビノイドは十分なエビデンスがなく推奨できない」とされています。

しかし、その後の5年間でデータは少しずつ蓄積されつつあり、

  • CBDや大麻の局所応用での有効性を示唆する報告
  • 神経障害発症の予防効果を示す研究
  • 安全性が高いという繰り返しの確認

などが積み重ねられています。

今後の課題

課題詳細
研究規模小規模研究が多く、参加者数が少ない
製剤の不統一種類や投与量が研究ごとにバラバラ
プラセボ効果影響を除外しきれていない

よくある質問(FAQ)

抗がん剤のしびれにCBDは効果がありますか?

一部の研究で有望性が示されていますが、「明確に効果がある」とは言えない段階です。

研究結果

研究結果
イスラエル(2021年)大麻使用群で神経障害発症率が低下
デンマーク(2022年)CBD 300mg/日で冷感異常が軽減(一部)
Mayo Clinic(2024年)CBDクリームでは有意差なし

現在の評価

  • 「有望な選択肢となり得る可能性」が見えてきた
  • ただし「明確な効果を証明した」とまでは言えない
  • 安全性と忍容性は繰り返し確認されている

がん治療中のCBD使用は、必ず主治医に相談してください。


どのような形でCBDを使用すれば効果がありますか?

局所用(クリーム)での有望性を示す報告があります。

使用形態と研究結果

使用形態研究での効果
局所(クリーム)一部で有望性を示す報告あり
経口(内服)効果は限定的
吸入データ不十分

局所用での研究結果

  • Mayo Clinic(2021年): 局所用CBD/THCクリームで痛みが数分以内に軽減、数時間〜一晩持続
  • Mayo Clinic(2024年): CBDアイソレートクリーム(0.5%)では有意差なし

研究者の指摘

2024年の研究者は「フルスペクトラム製剤や高濃度CBDでの再検証が必要」と指摘しています。


CBDは抗がん剤治療と併用しても安全ですか?

安全性は繰り返し確認されています

研究で確認された安全性

研究安全性の評価
すべての研究安全性は良好
副作用ほとんど報告されていない
忍容性良好

注意点

ただし、以下の点に注意が必要です

  • 抗がん剤との相互作用の可能性
  • がん治療全体への影響
  • 個人差

必ず主治医に相談してから使用してください。


どのくらいの量を使用すれば効果がありますか?

研究によって異なりますが、以下の投与量が使用されています。

研究で使用された投与量

使用形態投与量研究
経口300mg/日デンマーク(2022年)
局所クリーム0.5%濃度Mayo Clinic(2024年)
経口(サティベックス)THC:CBD=1:1カナダ(2014年)

注意点

  • 研究で使用された投与量は、一般的なサプリメントよりも高用量の場合があります
  • 自己判断での使用は避け、医師に相談してください

日本で使用できるCBD製品はありますか?

THC非検出の製品のみが健康食品・化粧品として流通しています。

日本での現状

項目詳細
合法性THC非検出の製品のみ合法
流通形態健康食品、化粧品
医薬品承認なし

購入時の注意点

  1. COA(成分分析証明書)の確認
    • THC不検出が証明されている製品を選ぶ
    • 第三者機関による検査結果が公開されているか確認
  2. 信頼できる販売元
    • 国内で正規流通している製品を選ぶ
    • 個人輸入はリスクがあるため避ける

重要: がん治療中のCBD使用は、必ず主治医に相談してください。


主治医に相談すべきですか?

必ず相談してください

相談が必要な理由

理由詳細
相互作用抗がん剤との相互作用の可能性
治療への影響がん治療全体への影響を評価する必要
適切な使用適切な使用方法の指導が必要
個人差効果や副作用に個人差がある

相談時のポイント

  • 使用を検討しているCBD製品の情報を持参
  • 現在の症状(しびれの程度、部位、日常生活への影響)を伝える
  • 他に使用しているサプリメントや薬があれば報告

主治医の指導のもとで使用することで、安全性を確保できます。


まとめ

抗がん剤によるしびれ(CIPN)は多くのがん患者が直面する深刻な副作用ですが、CBDや大麻を含むカンナビノイド医療は有望な選択肢となり得る可能性 が見えてきました。

現在の評価

項目評価
効果「明確な効果を証明した」とまでは言えない
有望性一部の研究で示されている
安全性繰り返し確認されている
忍容性良好

今後の展望

今後、より大規模かつ長期的な臨床試験が進むことで、CIPNに対するCBDの役割が明確になることが期待されます。

がん治療中のCBD使用は、必ず主治医に相談してください。


出典一覧

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    https://www.mdpi.com/2075-1729/14/8/991

この記事の監修者

dr.masataka

正高佑志 医師
アストラサナ・ジャパン KOL(Key Opinion Leader)

1985年生まれ。医師。熊本大学医学部医学科卒。一般社団法人GREEN ZONE JAPAN代表理事&臨床カンナビノイド学会副理事長として、大麻草の安全性や有用性に関する啓発活動に従事。著書『お医者さんがする大麻とCBDの話』など。

専門分野:カンナビノイド医療、精神医学、依存症治療

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この記事を書いた人

アストラサナ広報担当。カンナビノイドをはじめとする健康情報をわかりやすくお伝え。
日本においても欧州水準まで身近にすることを目標に日々頑張っています。

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